No.691 忍耐

先日、あるお客様と「今の若いモンは」話で盛り上がりました。

その方曰く、「自分の人生を生きていない」といいます。「何がやりたいのか?」と尋ねても答えが出ず、「どうなりたいのか?」聴いてもうつむくばかり。そのうち、「私はどうしたらいいんでしょう?」と質問してくる始末。

その上、「いろいろやってみて見つけてみては」とアドバイスしても、「無駄な生き方はしたくないんです」・・・「もう、開いた口が塞がらない」のだとか。

私も近しい事例を体験しています。では、なぜこんな子たちが生まれてしまったのでしょうか?

一つは、失敗させない大人たちにその責任があると思います。

「転ばぬ先の杖」といいますが、その杖は、いろんな失敗の中から自分で見つけ出すもの。しかし今は、親や先生が、転ぶ前に自らが杖になることで「いい親」「いい先生」を演じてしまっている。結果として、彼ら自身に杖がない。だから社会に出た途端、怖くて前に進むことができない。

さらには、「考える機会」ではなく、自分が安心するために自分の答えを与えてしまっている。人から言われたことをやって失敗しても人のせいにできるから、結局、自分で答えを出すことを極端に嫌がる性格が出来上がる。

二人で導き出した原因は、おおむねこのようなものでした。皆さんはどう思われますか?

その上で、今後の対応について同意したことは、

「自ら答えを出すまで、根気よく待つ」

「成功体験を積ませ、褒めて、褒めて、褒めちぎって、自分に自信を持たせる」

「できるようになるまで、責め心なく言い続ける」

でした。

20数年かけて培ってきたものを変えるのは、本当に根気のいることだと思います。しかし、縁あって出逢った目の前のこの「若いモン」を見放すことなく育て切る。そういう覚悟が必要な時代なのかもしれません。

きっと、私たちが若い頃、「今の若いモンは」と言われていた方々のご苦労も、内容こそ違えども、“忍耐”というその本質は同じだったに違いありません。私もその恩送りをしていきたいと思います。