No.745 紹介
先週、ある方から「お客様からの紹介を増やしていきたいが、これまで特に手を打ってなかったので、どのようにしたらいいかがわからない」という相談を受けました。今回は、その際お答えした内容について、少しだけお裾分けしたいと思います。
そもそも紹介は、提供したサービスや接客に感動したお客様が、その喜びを知人・友人などに伝えたいと感じた時にしてもらえるのが自然の姿であり、何か手を打って無理やり引き出すようなものではありません。紹介は、あくまでもお客様からの信頼のバロメーターなのです。
ただし、「紹介したいと思っても、どうしたらよいかわからない」や「とっても感動したけれども、紹介しようという発想がなかった」などといったケースもあるでしょう。そのようなお客様に対して手を差し伸べることは、紹介したいお客様にとっても、紹介される方にとっても、もちろん商品・サービスを提供する側にとってもよい、まさに“三方善し”の対応となります。
また、そのお客様が「おたくの会社や担当者を応援したい」という気持ちをもってもらっているとすれば、さらにその方の満足と喜びを引き出すことになるでしょう。
逆に、お客様にインセンティブを与えることで紹介を引き出そうという発想は、あまりおすすめできません。
確かに紹介は、「成約率が高い」「営業経費が少なくて済む」などのメリットはあるものの、一方で、「断りにくい」「過度の期待をもたれる」などの弊害が生じる可能性もあるものです。
信頼関係に基づく紹介であれば、当方のことも十分に考えてくださるでしょうが、インセンティブ目的の紹介は、そうではない可能性が高まるものです。その点は留意しておく必要があります。
では、顕在的・潜在的に紹介意欲を持っていただけている方から紹介をいただくためには、どのようにしたらよいのでしょうか。
第一に、「このようなお悩みをお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひお声がけください」などといったように、紹介して欲しい人のイメージをきちんともっていただくことです。
第二に、紹介者に詳細な説明や具体的な反応の手間をかけることがないよう、リーフレットや説明資料、またはオンライン紹介フォームなどのツールを用意することです。
第三に、定期的なフォローアップや情報提供など、接触頻度を高めることです。「紹介したい」と思っていただける方が、いつ紹介者の目の前に現れるかはわかりません。そのような方と出会われたとき、「あっ、そういえば」と思い出してもらうためには、常に何らかの方法で接触しておくことが大切です。
しかし、これらはあくまでも方法論に過ぎません。紹介獲得の大前提は、当方が提供するサービスや対応に満足いただいていることです。
「紹介が欲しい」と感じられたときは、「顧客満足のさらなる向上を検討すべき機会がやってきた」と捉えていただければと思います。