No.708 承継
先日、ある業界団体の創立者のお別れの会に参列してきました。
その業界団体とは25年ほど前、私のコンサル先での成果を認めていただいたことがご縁で、所属企業の経営者、管理者、営業マン対象の研修を5年ほど務めさせていただいていました。20年近く経っていながらお声がけをいただけたことは、本当に嬉しい限りです。
創立者の方は、私が関与を始めた頃には既に病に倒れられていましたので、残念ながらお会いしたことはありません。しかし、研修に参加されていた経営者の方からは、「いらっしゃらなければ、今でも日銭を稼ぐことしか考えてなかったと思う」「父ちゃん母ちゃん経営から会社組織に変革させてもらった」「徹底してお客様思考を植え付けられたから今がある」などと常々お聴きしていましたので、その存在の大きさはひしひしと感じていました。まさに“業界の恩人”といわれるに相応しい方だったと思います。
東京の築地本願寺本堂で催されたお別れの会は、業界団体やその関係者の方が多数参加され、その遺徳の大きさを感じさせていただきました。
開式後すぐに行われたのは、所属企業経営者による“理念”と“三大信条”の唱和。創業者精神が脈々と継承されていることをとても嬉しく思いました。
その後流された「プロジェクトX」を模した映像には、創立者の団体立ち上げへの思い、数多の苦難、そしてそれを乗り越えられてきた創立者と、それを支えてこられた草創期のメンバーの自己を省みない努力の姿が映し出され、本当に涙が出そうなほど感動させていただきました。
その映像は、葬儀の際にも流されたとのこと。お別れの会の最後にご長男がご挨拶をされたのですが、ご子息、すなわち創立者のお孫さんがその映像を見た後のお話を聴かせてくださいました。
孫「おじいちゃんってすごい人だったんだね」
父「そうだよ。みんなから尊敬されていたんだよ」
孫「僕もおじいちゃんみたいになれるかな」
父「なれるさ。だってお前にはおじいちゃんの血が流れてるんだもの」
先の映像を思い出しながら、お孫さんがどんな思いで見ていたのかを想像するうちに、涙腺が崩壊しました。そして、これが同族の強さなんだと思います。
創業の精神の継承と血の継承。継承の大切さを痛感させていただいた一日となりました。