No.716 自信

先日、約15年ぶりにある社長とお会いしました。当時はちょっとおちゃらけたところがあり、少々軽い印象がありましたが、屈託のない笑顔はそのままに、重ねた年月以上の風格を備えられていました。

お話をお聴きすると、それは経営者としての“自信”から生じているものだと感じました。経営計画書を見せていただいたのですが、当時と比べて年商は10倍以上。それ以上に、精緻な計画の内容は、この15年の取り組みの充実さを表していました。

その要因のひとつが、M&Aにあったようです。

10年前、ある特殊技術をもつ会社で、これまで何度も協力会社として利用していた先から、「社長が急逝し、経営が成り立たなくなったので助けて欲しい」と買収の依頼が入った。

ところが蓋を開けてみたらボロボロで、企業価値は1円。かなり悩まれたそうですが、技術の継承と十数名の社員さんの生活を考えて、すべての借金を背負うことにされたのだとか。

そもそも異文化で、なおかつ「買収された」という引け目からか、亀のように殻に閉じこもる彼らを勇気づけ、今まで以上の力を発揮してもらえるようにするために、あらゆる手段を講じたとのこと。

結果としてその会社は立ち直るどころか、高収益企業へ革新。またそのトライアルの中で見出した手法や制度・施策を本社にも導入し、かなりの相乗効果を得られたのだそうです。

業績もさることながら、「会社を助けた」「社会貢献した」という自負と誇りから、それ以来持ち込まれるM&A案件の内、何か光るものをもっているにも関わらず業績が悪い会社を買収し、改革をし続けてきた結果、グループ企業は10社を超え、年商も10倍以上になったとのこと。

先に感じた風格は、そんな自信と誇りに裏打ちされたものであったようです。

お話をお聴きしながら、「“社会貢献”の自覚が経営者を輝かせる」という本質を、改めて感じさせていただきました。

また、現状安住の精神を打破するために、異文化を取り入れ、自社の改革に繋げていく価値も教えていただきました。

みなさんも、まずは「私は何を以て社会に貢献しているのか?」を改めて明確にしてみてはいかがでしょうか?