No.720 革新

先日、私が講師の一翼を務める愛知県倫理法人会主催の『倫理経営実践塾』第2期の「中期経営計画発表会」ならびに「修了式」がありました。

発表会では、11カ月に亘って学んでいただいた内容をベースに作成した中期経営計画書のエッセンスを、受講者14名全員が10分間にまとめてお話しいただきました。それぞれに思いが籠っていて、とても感動的な内容でした。

中でも、「従業員はコストだ」と数カ月前まで言い続けていた20代の後継者が、「社員に感謝して、賞与を2倍払える会社にします!」と明るく、かつ自信満々に宣言されたときには衝撃を受けると共に、当塾で取り組んできたことに間違いはなかったと、とても嬉しく思いました。

また、塾のサポーターから「感恩力がゼロ」と指摘されていた50代の社長からは、奥様や両親、そして社員さんに対する感謝の気持ちと、“感恩報謝”の心がほとばしる内容の発表していただき、「人はいくつになっても変わることができる」ということに、感動をもって再認識することができました。

発表に先立ち、前日に11カ月の総まとめをすると共に、それまでに作成してもらっていた計画書のチェックを行い、それぞれに改善点の指摘を行いました。

中には、以前からある計画書を切り貼りしただけだと明らかにわかるものがあり、全面的な見直しを指示した人もいました。彼はその指摘を真摯に受け止め、翌日5時まで見直しをされたとのこと。しかし、修正された内容を改めてチェックしたところ、取って付けたような資料が加わっただけで、本質的には何も変わっていませんでした。

そのことを指摘された彼は頭を抱えていましたが、時間に追い詰められた結果、着飾った表現も、綺麗にまとまっていたスライドもかなぐり捨てて、社員さんに伝えたい思いを熱く語られました。結果として、それが良かったのだと思います。発表後の彼は、これまでに見たことがない満面の笑みを浮かべて私に抱き着いてきました。「後継者の“虚勢”」という憑き物が落ちたのだと思います。

さらには、私に受けた指摘がどうしても解消できず悶々としていたところ、他者の発表を聴きながら「突然降りてきました!」と直前に原稿を修正して発表した人もいました。私も「それです!」と心から賛同できる内容で、「本気になれば必ず得られるべきものを得られる」ということも再確認させていただきました。

他のメンバーの発表もとても素晴らしく、まさに講師冥利に尽きる内容ばかりでした。

また10月から新しい期がスタートします。塾生の自己革新を促進し、今期以上の素晴らしい発表を聴かせていただけるよう、私自身にさらに磨きをかけて臨みたいと思います。